際だとう2020とは?

「運も実力のうち」とはいうものの、このご時世で吉永社長ほどのハッピーな経営者もそうざらにはいないだろう。

 

吉永氏がスバルの社長に就任したのは東日本大震災の直後’11年6月。

 

軽自動車の開発・生産からの撤退や新宿スバルビルの売却など赤字体質からの脱却を果たした前任の森社長時代に練り上げた15年度までの中期計画「Motion-V」がスタートした年でもある。

 

「Mosion-V」は最終年度に85万台を販売し、連結ベースで1ドル80円でも1200億円の営業利益、6%レベルの営業利益率をあげるという数値目標だったが、その後、為替が円安に向かったこともあり、その主要目標は2年も前倒しであっさりクリア。

 

しかも13年度の営業利益率は目標の2倍を越える13.6%となりさらに14年度は14.7%、15年度は17.5%とアップした。

 

どん底状態の際に支援を仰いだ資本業務提携先のトヨタでも全く歯が立たないほどの驚異的な数字をはじき出した。

 

株価の急騰もすごい。

 

吉永氏の社長就任時の株価は600円台前半で推移していたのが、13年には2000円を超え、15年は一時5000円を突破。

 

北朝鮮・シリア情勢などの「地政学リスク」や円高傾向で乱高下が激しい直近の株価でも4000円前後を維持。

 

吉永社長の笑いが止まらなくなるのは無理もない。

 

だが、想定以上の急成長に吉永社長は「経営基盤はいまだ磐石とは評価できない」と気の緩みを警戒。

 

そこで新たなステージでの競争力強化と持続的成長を目指すため、14年5月にぶち上げたのが新中期計画「際だとう2020」だ。

 

タイトルにもあるように2020ねんごろのスバルの「ありたい姿」をい描いたもので、「大きくはないが強い特徴を持ち、質の高い企業」として、顧客からの信頼ナンバー1、高いブランド力、業界で最高水準の利益率などの目標をかかげている。

 

米国一本足打法をこのまま続けるのか?

最終年度の新車販売目標は、当初110万台プラスαとしたが、後に120万台プラスαに修正。

 

地域別ではドル箱の米国とカナダで80万台+α、日本で15万台、中国で5万台、中国は5万台、その他ロシアや東南アジアなどの市場では20万代の販売を期待している。

 

もっとも16年度のスバルのグローバル販売は101万代と初めて100万代の大台を超え、17年度も109万台を計画しており、すでに射程圏内に入った。

 

なかでも米国市場は9年連続で過去最高を更新する見通しで、リーマンショック前の約3倍の67万台を見込んでいる。

 

ただこの先も快進撃を続けられるかどうかはわからない。

 

皮肉にも、そのスバルのアキレス腱は、なんといっても「米国一本足打法」である。

 

保護主義を掲げるトランプ政権が打ち出す通商政策しだいでは戦略の見直しを迫られる可能性もあるからだ。

 

際だとう2020では、スバルブランドを磨く取り組みとして

  • 総合生産
  • 安全
  • デザイン
  • 環境対応
  • 品質サービス
  • コミュニケーション

の6つをあげた。

 

総合性能は車の進化。

 

水平対向パワーユニットはすべて直噴化し、新設計次世代のスバルグローバルプラットフォーム(SGP)を全車に導入。

 

SGPは衝突安全性能を全面的に引き上げるもので1クラス上の動的質感を得ると同時に、インプレッサからアウトバックまでのプラットフォーム設計構想を統一。

 

開発の効率化、他工場展開の容易な柔軟性を実現していく。

 

SGP第一弾、第二弾となるインプレッサとXVは、4月、JNCAP予防安全性能アクセス面とにおいて過去最高得点を獲得し、衝突安全性評価対象を受賞して、SGPの安全性能の高さを証明してみせた。まさに有言実行である。